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入所女性殺害で懲役10年 施設元職員に2審も実刑

2015.06.28


わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることがで きる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者 自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
石川県かほく市の介護施設で、入所女性にヒーターの熱風を当て殺害したとして殺人罪に問われ、1審で懲役12年(求刑懲役13年)を言い渡された元職員松田優被告(29)の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部の安江勤裁判長は28日、懲役10年を言い渡した。
1審金沢地裁は昨年8月、松田被告は熱風を当てた際「死に至るかもしれないと認識していた」と殺意を認定。
弁護側は控訴審で「被告はヒーターをつけてうたた寝をしていた」として、殺意はなく、傷害致死罪か業務上過失致死罪が相当と訴えた。
検察側は「量刑は相当」として控訴棄却を求めていた。
1審判決によると、松田被告は昨年2月12日、認知症の女性=当時(84)=がヒーターを足で動かし何度も消したことに立腹、顔などにヒーターの熱風を当て、やけどを負わせて殺害した。